2023年10月

仕事。忙しいことに対してはそこまでストレスは起きないが、これは俺がやらなあかんのか、でも放っておくとコールくるしなあみたいなものを拾うのと、なんで全部止めてこれ開発しないとだめなん、しかもやれるって言ってたスケジュールにはちっとも間に合わなそうなのに途中まで調子いいこと言って、スケジュール詰めると急に「そういうことですか」みたいなことを言われるなど。こいつらもう限界なのではという世界線に突入。

 

半年準備して申請した融資が砕け散った。当日までのプレ面談、面談と担当者の反応が良く、商工会からは「間違いないと思うんで進めましょう」と言われていた矢先。電話で「なんかだめっぽいです」。いろいろ聞いて理由はわかるけど、それならもっと前の段階で突っ込めたんちゃいますかねえという気持ちと、どっかでイケるつもりになってた自分にも甘えがあったのかと結果論ではあるが思ったりした。コンセプトの否定とかではなく、貴様の持金の少なさと経験のなさを理由にされるのは、周りのことを考えると恥ずかしい。情けないが、動かせない事実をもとに決まったものであり、それは誰かに恣意的に操作されたわけでもなく、受け止める他はない。

 

どうしても文章だけで伝えるのが難しく、一緒に動いてくれていた人たちに一通り電話。マジでいい人ばかりで、やり方変えて始めて、またやりましょうよ的なニュアンスで言ってくれる人が多くて泣けた。「祭りに参加してるみたいでした」「来年いつやるんすか」に泣きそうになったけど、ちょっと泣いたのは寝る前だけだった気がする。

次の動きを考えた結果、「貯金」と「実績」ということになったので、とりあえずエージェントと転職の相談。東京に来てから10年以上になり、東京はおもろいというのは自明であるが、金を貯めるのにいい場所かどうかというと、それはちょっと違う。もらえる金もいいが、出ていく金も多い。もらえる金に関しては、今どきはそんなに場所で変わることもないので、とりあえず東京を出るために会社を辞めることを決意。

東京から離れた自分をもはや想像できなくなっていることと、それでもなお自分はやるべきことをやりながら生きて、再トライする気概を維持できるのかは不明だが、改善点が分かっていることをやらないほど適当な気持ちで始めたわけではない話であることもまた事実である。思えば周りが「とりあえず東京の大学に行きたい」と言っていた横で、「偏差値が1番高いところで行くんで場所はどこでも」とカマしていた校内の神童気取りの地方のクソダサ高校生のころを思い出すと、別に東京にこだわりを持ったときなんてなかったことに気付く。

物件の解約金が発生しなかったことにマジで安堵。いきなりマイナスのスタートにならずに済んだ。適当な仲介業者やったけど、最後に仕事してくれたので全部チャラにしてやるわ。

 

 

ブクサムのため、代田橋のフィーバーに初めて行く。本当はライブを見るのに来るところなのになんか不思議な気分。いくつかzineや先行販売的な本を購入。その後散髪へ。まだどうなるか良くわかってなかったころなので、結構前向きな話とかを美容師としていたような。

 

公庫プレ面談の日に、物件を今日見ろと新幹線乗車中に電話が来る。仕方なく予定を調整。物件の保険の話をした後で、刷りきれていなかった書類をコンビニで刷ると、財布がない。慌てて戻ってレジで確認すると、ありましたよと言われて、手渡される。始まる前に終わるところだった。プレ面談はつつがなく終了し、内覧後は実家でゆっくりと連休を過ごす。

 

YSD氏に帰りがけに玉澤の饅頭を買って帰る。どうも本当に好きらしい。これくらいでそんなに喜ばれるならいくらでも買いますよということで購入して新幹線。吉祥寺で軽くコーヒー飲みつつ感触を話して土産を渡して別れる。

 

後輩の送別会のことをすっかり忘れていたことを連休中に思い出して週明けに急いで調整。後輩はプレゼントまで渡してくれた。本当はこちらが餞別を渡すべきなのにそんなこともできずにハズいと思っていると、一緒にいた先輩がスッと出して渡していてかっこよかった。こういう人らと働いていたかっただけなのに、いつもそうはならないのはなぜなのだろうと考えてもわからないことを考えてしまう。

 

コロナウイルスワクチン接種のため、午前中から都庁へ。都庁なんてちゃんと来たのは初めてかもしれない。とにかく入口が分からず大混乱しつつも、なんとか辿り着き大行列に並ぶ。予約のお陰で進みはそんなに遅くないので、スムーズに終わったが、こんなに痛かったっけ?とはちょっと思った。

 

石内都 初めての東京は銀座だった」を資生堂ギャラリーで見た。銀座とか東京とか、もうなんかベタベタな感触なんだけど、でも良いものは良くて、それを取り込みながら尚反発するのか、飲み込まれるのか、どんな塩梅がありうるのかと思う。でも、土地柄シリアスになりすぎるのは絶対に違うともまた思っていて、そのへんのバランスが見えない。

 

「ステファン・サグマイスター ナウ・イズ・ベター」をギンザ・グラフィック・ギャラリーで見た。今じゃなかったらなあという気持ちで見てしまった。ウクライナとガザの状況を見てもなお、大局としてのベターに言及して肯定できるのか分からなくて本当にモヤモヤした。作品に罪はない。そもそも作られたのはそれらよりも少し前なのだから。たしかにベターになっているのはわかっているけど、もうベターもクソもあるかというのが正直なところだったりする。見せ方はめちゃくちゃおもろかった。

 

ワクチン接種後、発熱と怠さが一気に来て死にかけ。一人暮らしのこれは何度やっても厳しい。ポカリとバファリンの高いやつ、適当に食えるものを買い、ちょっとだけ食べてひたすら眠る。休みの間だけでは完全に回復せず、その週はずっとなんか変だった。

 

公庫面談に向かう。聞かれたことは前回までとほとんど変わらず。一部お金に関する心配をされたが、あれこれ話して特に問題なしという感じで、進めるように頑張りますとつつがなく終わる。

OSK氏に急遽仙台に来てもらい、同日に内覧と物件のちゃんとした確認。いろいろ話しつつ、総合的にはなんかいい感じっすねという話と、まだぎこちない関係性の中でなんとか仙台の感じを説明しつつ、楽しみが広がった。忙しいということで、弾丸で福岡に帰られた。これで決まっていたら完璧だったわけだが、冒頭の通りこのあと砕けたので、全部仕切り直し。申し訳無さだけが残っている。

 

現代美術館で「デイヴィッド・ホックニー展」、「あ、共感とかじゃなくて。」、「MOTコレクション」をまとめて鑑賞。

ホックニーめちゃくちゃ良かった。色彩とやり方の時代ごとの変化と変わらない意識。特にブルーギターが本当に好きだった。ポートレート系の作品も良かった。ポートレートを突き詰めた時の違和感と、そこからのホックニーの変化みたいな話が解説で書かれていて、それもおもしろかった。

「あ、共感とかじゃなくて。」も、相変わらずのアニュアル展の良さが際立っていた。どう取るかという話はいろいろありそうだが、「共感」による過度な安心みたいなものに対する漠然とした違和感は常々あり、そこともちょっと違うんだけれどなんかニュアンスはわかって、それが作者ごとの切り口で展開されてた。巨人の歯のモニュメントの山本麻紀子氏の作品は圧巻。

MOTのコレクションは最後に梅沢和木「とある現実の超風景」が見れるのが最高。横尾忠則の作品も多くあって満足。寒山百得に早く行かなければ。

 

vektor shopで古本のガレージセール。いくつか気になるものをやや値は張ったが、総じてはお手頃で購入。手札になるものが少ないのは気がかりだが、東京にいるうちに特殊なセールや古本市には極力足を運んでおきたい。

粟津邸で吉國元展「根拠地」を鑑賞。粟津邸に行くまでがとにかく大変。最寄り駅から迷いながら坂を登ってなんとか到着。絵を観に来た気持ちだったので、建物を見ている人に少し違和感があり、最初は気持ちが乗らなかった。途中から、ここはクラブかと捉え直してうまくいった。クラブのいいところは全員目的が違うけれど、同じ空間にいて干渉し合わないこと、なぜかたまにヴァイブスがカチッとするときがあることだと思っていて、前者だと思ったら見やすくなった。途中から絵を見る自分から建物を見る自分に変わったりしてるような気もしてきて、その辺もなんか良かった。

 

YSD氏と夕食。結局人と会って話したくなり、無理を言って日曜の夕飯。いいチキンライス屋さんでかなり満足。いろいろ食べつつ話しつつ。お互い考えていることがあり、それらの交換などをすると、なんかまあ別に俺だけが大変なわけでは当然なく、いろんな方向でみんな大変だとわかりながらも、他人なのでお互い好き勝手言えるというのはなかなか悪くない瞬間だと思う。

 

バズとか人気みたいなものをなるべく考えないようにしていたし、そうしている方が良いと今も思っているが、ではどうやってそれなりの信頼や人気や注目を保つのか。考えたくなかったようなことを考えていくのが来月のテーマになっている。もちろん、仕事を辞めて次の仕事に就くことは当然にしても。